『まもなく3番線に電車が参ります。この列車は―――･･･』

ホームにアナウンスが響き渡る。

｢じゃ、あたしこっちだから!　ばいばーい★｣
すっかり嬉しそうに電車に乗り込む唯。
｢ばいばあい♪｣

別れを告げると、数分後にその電車は発車して、やがて唯の姿も見えなくなった。

ふと反対側のホームに目をむけると、手をつないで楽しそうに喋りながら電車を待つカップル。

いいなぁー･･･。
｢あたしも頑張ろぉ･･･｣
そう呟いて携帯をいじりだした頃、あたしの乗る電車が来ることを知らせるアナウンスが響いた。


｢あー･･･　今日もいっぱい乗ってるし･･･｣
あたしの家の方面へ向かう電車は、なぜかいつも乗客が多い。(朝は半端ない)
向こう側からやってくる電車は、いかにも窮屈そうで･･･

ホームに止まってドアが開くと、押し出されるように人が降りてくる。
｢ちょ、すいませーん･･･｣
電車に乗り込むと、人並みをかき分けて、やっとの思いで手すりまでたどり着いた。

プルルルル･･･

プシュー･･･

『発車致しまぁす』
癖のある、車掌さんの声と共に、電車が動き出した。

ガタンっ･･･!

不意に起こった大きな揺れで、少しフラついて後ろにいた人に肩が当たる。
｢あ、すいませんっ･･･｣
顔を見上げてそう言うと、そこにはあたしの学校の制服を着た、見覚えのある顔の男の子がいた。