居心地は悪くない。

でも皆変わった服装をしていて現代風ではなかった。

制服の俺だけが浮いた感じ…

でもそんなこと気にする奴なんて誰もいない。


するともう夜なのに神社に入ってくる人がいた。

ざっと20人近くがご神木の周りにいるのに何にも気にせずに社に向かってくる。

変な人…

俺はその人をジッと見ていた。

こんなばか騒ぎしてるのに気にせず神社へくるなんてよっぽど鈍感なのかな?


そんな風に思っていると今度はこちらに向かってくる。
明らかに俺の方へ来る。

最初は何にも感じなかったが、この人は俺と目を合わせない。
なのに向かってくる。
それはやがて恐怖へと変わった。


何故か足がすくみ動けなくなり、背中に嫌な汗が流れた。

もうこの人は目の前なのに俺を見てない。

ただのじいさんなのになんなんだよ!

体が動かない。

やめろ…
やめろ…
ヤメロ…
ヤメロ…
…来るな!!



目を見開いた。

じいさんは俺を透けて通り抜けた。

唖然とする俺をよそにじいさんはご神木に手を当て話始めた…

『風神さま。どうかわしらの孫に良き風をお与えくださいませ…』
怖かった…
体は動かずにいる。
汗だけが滴り落ち恐怖心を駆り立てる。

すると誰かが俺の肩にポンっと手を乗せた。
ビクッ!

「そんなに怖がらなくても大丈夫だ。」

その声を聞いて俺は振り返った。

そこには扇を左手に持って神妙な面持ちで立つ風雅がいた。

さっきまでとは雰囲気が違って遠い世界の人のようだった…