お兄ちゃん


どうして


何も答えてくれないの?




1人取り残されたベッドの上


いつまでも
身体の熱が引かなかった



だって この身体のぬくもりは


一晩中 私を抱きしめていた


お兄ちゃんの体温だから








ダイニングテーブルには


ご飯に卵焼きに鮭、焼き海苔、ワカメの味噌汁と和食なメニュー



何も言わずに涼しい表情で味噌汁を飲むお兄ちゃん



静かな私たちの代わりに


リビングのテレビから

美人な女子アナが

最新のヒットコスメを紹介する

明るい声が響いた





箸を持ったままチラッとお兄ちゃんを見ると



お兄ちゃんも私を見つめた



…………ドキンッ



お兄ちゃんの視線は すごく力強く感じて


もう 『どうして一緒に寝てたの?』って訊けなくなった




「姫」


ドキッ


「は、はいっ」


「………朝ごはんはしっかり食べなさい」



全然、箸が進まない私に


静かな声で言ってから


「ごちそうさま」


カシャン…
お茶碗とかを重ねて
キッチンに下げ



お兄ちゃんは書斎に入って行った