その日の夜、私はお兄ちゃんが帰ってくる前に
雅哉さんに電話した
手紙をもらったのに無視は失礼だし、ちゃんとお断りしようと思って
だけど雅哉さんは出なくて留守電に切り変わった
私は伝言を残さず そのまま切った
雅哉さんから折り返しの電話があったのは
夕食を終えて後片付けをしてる時
お兄ちゃんはお風呂に入っていた
「はい」とケータイに出ると
「もしかして松雪さんですか?」
雅哉さんの第一声はコレだった
その声から喜びがにじみ出て
私は困ってしまった
「…はい。松雪です。
伝言を残さなかったのに
私だって、よくわかりましたね?」
「待ってましたから」
……ズキズキ
キッチンのシンクにもたれかかり
胸がとても痛い
もう すでに どう断ればいいのか 分からなくなってた



