兄と妹で愛しあっていました
そんな話、今の姫に出来ない
「そもそもさ
最初から無理がある話なんだよ、兄妹で愛し合うなんて
翠、せっかくリセットできたんだから、思いきって翠から先に姫子ちゃんと離れたら?」
――――――――リセット?
「誰がリセットできたって?」
「………翠」
リセットなんか出来ていない
オレの胸の中には姫がいる
オレを
『みーくん』と呼ぶ姫も
『お兄ちゃん』と呼ぶ姫も
過去も現在も
まだ真っ白な未来だって
オレの胸には姫が溢れてる
「オレから離れるなんて…」
出来ないよ
「でもさ、翠
本当はわかってるよね?
翠が身を引けば、みんな幸せになるって
姫子ちゃんに誰からも認めてもらえない いばらの恋をさせずに済む
翠は本当はわかってるよね…」
新はオレの目をじっと見つめ
「大切な大切なお姫さまを
いばらの道へ誘い込める?
翠は…そんな男じゃないって
ぼくは知ってるから」
フッ……と力を抜いて新は微笑み
ポンポンと優しくオレの背中を叩いた



