「ずっと、このまま死ぬまで兄妹一緒にいるつもり?」
新の問いにオレは無言を通した
「姫子ちゃんに好きな男が出来たら?」
新はオレの横顔を真っ直ぐ見つめながら
しつこく問いかける
「翠はちゃんと姫子ちゃんを手離せるの―――――――?」
「うるせぇよ!
んな事、お前に関係あるかっ?」
カッとなり
大きな声を出すと
カウンターの中、バーテンがチラッと怪訝な視線をオレに向けた
「ぼくに関係ないって言うなら
姫子ちゃんのガードなんて変な頼み事しないでよ」
「わかってるよ」
いつも嫌ってほど考えている事を新が言うから……
「翠が姫子ちゃんをそばに置くのは、もう一度、恋人に戻るため?」
「……わからない
もちろん、戻りたいよ
だけど、今の姫に過去の話をして傷つけるのが怖いし」
今の姫は純粋に兄としてのオレを慕っている
家族の記憶がなくて お母さんとの関係も微妙だし
姫が唯一、頼れるオレが急に過去の話をしたら
間違いなく姫は混乱する
最悪、オレを嫌うかも知れない



