「とうとう翠も結婚か」



ふぅ~~~って大きく息を吐き
首を横に振った新に



「なに言ってんだよ?しないよ。結婚なんて」



横目でチラッとオレを見て



「糸井院長、翠が実家の病院を継ぐと言っても
医療過疎のど田舎行くって言っても
美紅さんをくっ付けるよ」




「………なんで?」


院長の大切な娘


嫁に出しても自分の近くに置きたいから


自分の病院の勤務医であるオレに声をかけたんじゃ?




「翠は知らないんだね
美紅さん、正妻の子じゃないよ」



「…………へ?」



新はニッと笑って



「美紅さんは愛人に産ませた隠し子だよ」



「………はぁ?」



「残念だったね、翠
院長は翠に美紅さんを押し付けたいって思ってんだよ」



え?


じゃあ、まさか………



「翠がどんな田舎へ行こうとも
糸井院長は喜んで美紅さんを差し出すだろうね………」



それって最悪なシナリオ



カチン★
新はオレのグラスに自分のグラスをぶつけて



「翠くん、結婚おめでとう」



満面の笑みを浮かべた