「―――――で?
翠のお願いってのは つまり…」
仕事帰り、新をバーに誘い
カウンターで二人並んで座る
新はつまらなそうな表情でカクテルグラスの青い液体を見つめ
「翠のお願いは つまり ぼくに翠の尻拭いをしろと」
「尻拭いじゃないよ。今日の院長の話が姫の耳に入らないよ~に……」
「バカだなぁ」と新は呟いてから
「ぼくだって病棟で遊んでるわけじゃないんだ
翠の大切な たぁ~~いせつな姫子ちゃんに
べったりマークしてるほど暇じゃあないんだよね?」
新の言うことは ごもっとも
「うん。だからさ、できるだけでいいから……」
できるだけ姫に変な噂が入らないように新にガードをお願いしようとしたら
「翠だってわかるよね?
ナースの口に蓋は出来ない
ぼくに1日中、姫子ちゃんの耳を塞いでろって?」
ナースは女社会
ある事 ない事 噂は あっという間に広がっていく
オレはため息ついてから
「じゃあ、姫の耳に入ってしまったようならオレに教える。それくらいなら、できるだろ?」
新は じと~~ってオレをにらみ
「それが人にモノを頼む態度?」と言った



