『まさか断らないよね?』っていう院長の熱い視線から目を逸らし
「院長。
私は今年でもう35ですよ?
美紅さんはまだお若いですし
私には…もったいなくて……」
「なんだ?鈴木先生、誰か決まった人でもいるのか?」
院長の言葉に
姫の顔がよぎるけど
「…いいえ」
まさか妹と一生を共にするなんて言えない
「しかし、院長
やっぱり私なんか……」
「美紅だよ」
「え?」
「美紅なんだ。君に会いたいって言ってるのは」
なんだって?
「先日、病院に来た時に君を見かけて、紹介しろと頼んできたのは美紅なんだ」
…………そんな
「美紅はわがままで甘えたところがあるからね。
そこが可愛いところでもあるが
歳上のしっかりした男に任せたいと思ってたんだ」
「………そんな、私は しっかりなんて
医師としても…まだまだですし」
会ったら、最後じゃないか?
院長の娘がオレを嫌ってくれない限り
それに姫
姫の耳にこんな話入ったら…
「嫌なのかね?」
院長の声音が変わる
「鈴木先生。君だっていつまでも妹と二人暮らしってわけにもいかないだろう?」



