私は本郷先生をじっと見つめ
「いいんですか?」と訊くと
優しく微笑み
ケータイのアドレスを交換した
「じゃ、私もうそろそろ病棟に戻ります」
ベンチから腰を浮かすと
グッと腕を掴まれ
「姫子ちゃん
翠には内緒にしてね?
『余計な事するな』って
ボク怒られちゃう」
子供みたいに肩をすくめ本郷先生は笑った
「はい」
私はうなずいてベンチを後にした
「いいなぁ。あの目
翠にソックリだ」
「いいなぁ
―――――――――欲しいな
あの目が」
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