…………無駄だ



考えたって無駄なことだ



答えなんか出ない
そんなことくらい
分かりきってる



残された事実は
オレと姫は
兄妹だってことじゃないか




結局いつだって
堂々巡りで



姫はもうオレを
『みーくん』とは
呼ばないんだ




ジョッキのビールを
飲み干して


テーブルに突っ伏する
姫の肩を軽く叩く


「姫、姫、起きろ!
もう帰るぞ」



「ふいー、なに~?」


目を閉じたまま
姫は顔を上げて


「起きれにゃい………」


左右にぐらぐら揺れる
姫の肩を抱きかかえて
店を出た



タクシーに乗り込むと
姫のマンションの住所が
詳しくわからない



「あれ?
姫、住所あそこ何だっけ?」


姫はオレの胸に顔を埋めて


「しりゃにゃーい」


「はあ?」


「わっかんにゃ~い
ふふふふふふふふふ………」



あー、もう酔っぱらいめ



仕方ない
明日は姫、
準夜だって言ってたし



オレのマンションに泊めるか




走り出した
タクシーの窓の向こう
流れていくライトをながめてた



姫はオレの胸で
クウクウ寝息をたててる



ワイシャツ通して感じる
姫の温かい吐息が
オレの心をかき乱していく