いつものごとく
一時間も経たないうちに
姫は酔っぱらって
テーブルに突っ伏して
眠ってしまった
客と店員の声や
足音とか
そういうガヤガヤした音を
遠くに感じながら
姫の髪や肩を
ただ黙って見つめてた
少しぬるくなった
ビールに口をつけて
自分が今いるところは
一体どういう場所なんだろうな
なんて ぼんやり思った
姫が生まれた時から
ずっと一緒にいて
ずっと一緒に歩いてきた
気がする
もちろん途中
道が離れたこともあった
だけど、今、目の前に姫はいる
確かに今、この時点までは
いや、姫が記憶を失う前までは
二人で同じ道を歩いてた
道の途中としても
今、姫といるここは
どういう場所なんだろう
それとも、オレと姫は
もう同じ道の上にいないのかな
知らない間に
オレも姫も
方向転換をさせられてるのかな
もう、どこにもないのかな
二人一緒に目指す場所は
もう、どこにも…………
だったら、今
オレが立ってる道の上は
この道の先には何があるんだ?
どこにも繋がってない
果てのない道なのか?
姫は今
どんな道の上にいて
姫の進む道の先には
何があるんだ………?



