お互いの勤務の関係で
食事の約束ができたのは
結局2週間も過ぎてから
しかも その日
急患が入って
約束の2時間以上 遅刻した
姫が指定した居酒屋に入り
「ごめん、遅れて」
姫は首を横に振り
「お疲れ様です」と呟いた
オーダーをとりに来た
店員さんにビールを頼み
ふぅと一息つく
「居酒屋なんかで良かったの?」
オレの言葉に
姫はうつむいて
「ドクターが
利用するお店なんて
緊張して
味、分かんなくなるもん」
居酒屋は
席が全て個室になってて
遠くの方から
酔っぱらいの
「だはははは」って
豪快な笑い声が聞こえた
姫は どうやら
巨峰サワーを飲んでるようで
もうすでに顔は赤く
目がトロンとしてた
気がついたら
手を伸ばし
姫の頭を2、3度 撫でてる
「なによ、急に」
唇を軽くとがらせた姫を見て
………会いたかった
ただ、ただ 会いたかった
その気持ちだけが込み上げてた



