振り返って
追いかけようとした
オレの足を止めるのは
オレは姫を幸せに出来ない
追いかけて
何を弁解するんだ
オレは姫の兄なのに
美紅さんといたのは誤解だ
自分が好きなのは姫だけだ
そんなこと言えないのに
姫が残した
プレゼントを見つめて
唇を噛みしめた
「悪いけど
やっぱり帰ってくれない?」
低い声で呟くと
美紅さんはうなずいて
帰って行った
誰もいないリビングで
姫からのプレゼントを開くと
ルビーのピアスだった
7月の誕生石か………
姫の哀しげな顔が
オレの胸を締め付ける
追いかけたかった
スーツのポケットから
ケータイを取り出し
開いては閉じ
開いては閉じを繰り返す
会いたい、会いたい
姫に会いたい
でも、今 会ってしまえば
離れたことが水の泡
どんなに願っても
許されない願いがある
姫の幸せを想うなら
堪えるしかないんだ………



