夜勤などで すれ違って



お兄ちゃんと
家でゆっくり会えたのは
アレから4日経っていた。



夢だと思いたかったけど

夕食後ちゃんと
話がしたくて入った

お兄ちゃんの書斎のデスクには

プリントアウトされた

部屋の間取り図が

3枚置かれてた




椅子に座る
お兄ちゃんの背後に立ち



「お兄ちゃん。
本当に引っ越すの?」


やっぱり私を振り返らず



「姫が気にすることは
何もないよ」



「………お兄ちゃん……
ずっと一緒にいてくれないの?」



「…………離れても
兄妹に変わりはないから
困ったことがあったら……」



「困ってるよ。
私、今、困ってる。
お兄ちゃんが
どこか行ってしまうのは嫌」



「子供じゃないんだから」


ため息をついたお兄ちゃんの
髪の隙間から見えた耳



「………あれ?
お兄ちゃんピアス」


小さなゴールドの輪が
耳たぶについていた


「ああ、うん。気分転換に
この間、グサリと」


「えっ!自分で刺したの?」



「刺したって…………
まあ、そうか」


「痛いよ~」


私が情けない声で言ったから
お兄ちゃんは笑って


「なんで姫が痛いんだよ」



「お兄ちゃんが痛いと
私も痛いのっ!」


耳たぶに穴あけるなんて
痛いよ、絶対に


お兄ちゃんが痛いと私も痛い。


本当だよ?お兄ちゃん…