昔から
オレが優しいのは姫だけだった



姫以外の女の子は苦手なんだ



いつも何かを求めてるみたいな目をしてるから



何かを期待してるような目をしてオレを見るから



姫は


姫だけは


いつもオレにいろんなモノを与えてくれたような気がする



姫だけはオレに対して無償だったと言うか



オレのために姫は存在してるとさえ、思った時期はあった



オレの中にある
自我の塊だったり
そう言ったものを



姫が全て綺麗に飲み込んで



オレは健全を保っていたような



大学の時、姫を意識してからは
バランスが崩れて
荒れたけど………



「鈴木先輩は
誘えば誰とでも寝る

密かに憧れてた私は
勇気を出して………」



「そもそも、
そこがおかしいだろ吉田」


「え?」


「憧れだか何だか知らないが
オレのこともロクに知らずに
誰とでも寝る男を誘うか?」



「違うよ。先輩
私は噂は間違ってることを確かめたかった」