Bitter&Sweet




オレは姫を愛しているのかな



「何を勘違いしてるのか
オレには、わかりません

あの子は妹で、オレは兄です」



往生際悪く映っただろうか


でも、そう易々と
認めるわけに いかない


オレと姫は
そんな過去を持っていて


ああ、
姫は忘れたから
過去を持ってるのは
オレだけか



美紅さんは
オレを哀れむような目をした



「いいですよ。それでも。
だけど、
私は翠さんを守りたいです

無理に南さんから離れてなんて言わないし

間違いを犯すあなたごと
愛しています」








気がついたら
屋上にはオレ独りで


カシャ……ン
フェンスに寄りかかり


唇を噛みしめた



「完敗だな」



美紅さんは脅すことも
院長に頼ることもなく
オレをねじ伏せた





………愛してるよ、姫。


すごく すごく愛してる


だけど


オレの愛はどうしても


優しいだけじゃおさまらなくて


どうしようもなく


激しさを連れてくる



泣く泣く姫を手離すのが


愛と呼ぶなら


オレは姫を愛していない


誰かに渡すくらいなら


姫を壊して


粉々に砕いて


その綺麗な姫の欠片を


1つ残らず広い集め


小さな宝箱にしまうだろう


そうして、誰にも見せず


どこにも行かせない――――――――――――――