お兄ちゃんは私の頭を手のひらで包み、そのまま抱き寄せた



華奢だけど、しっかりとした肩に頭をもたれさせ



大きな手のひらは
私の頭を撫でる



ドキドキドキドキドキドキドキドキ…


な、な、な、何をしてぇ~
お兄ちゃんっ!



顔が一気に熱くなって
身体はカチコチに固まる


そんな私に構わず そのままお兄ちゃんは電話を続けている



「父さんは元気?」


『元気だよ。
…病院の方も大丈夫だから』


お兄ちゃんの肩に耳が密着してるせいか、電話の声はよく聞こえた



「………それなら、良かった」



静かな声で
お兄ちゃんが言った時


『翠。どうして婚約したこと教えてくれなかったの?』



「…………はい?」


『そちらの院長さんのお嬢さんと婚約したって』



……………え?



『松雪さんも知らなくて、びっくりしてたわよ』



私はお兄ちゃんを見上げて



(美紅さんとは連絡とってないって言ったのにっ!)


って視線で 訴えると


お兄ちゃんも首を横に振りながら


(とってないよ)


って焦った表情で訴えてた