急な連絡に お兄ちゃんは少し戸惑ってるみたい
鈴木の家と連絡とるのはお正月に短く電話で挨拶するくらいだった
跡取りにするために お兄ちゃんを養子にしたのに
鈴木の家を出て ここにいることを後ろめたく感じると
お兄ちゃんは前に教えてくれた
………そう言えば
お兄ちゃんは どうして鈴木の家を継ぐのをやめたんだろ?
その理由を私は知らない―――――――――――
ケータイの通話ボタンを押し
耳にあて 少し低い声で「はい」ってケータイに出た
お兄ちゃんは また私の隣に座り
「はい。うん…久しぶり
え?ああ。
オレも姫も元気だよ」
『姫』って私の名前(ではないけど)が出たからかな?
電話の内容が気になって
そぉっと近付き、お兄ちゃんの耳元、ケータイに私も耳を寄せた
『翠ったら全然連絡くれないから』
少し怒ったようなお兄ちゃんのお母さんの声が聞こえ
お兄ちゃんは この声に育てられたんだって思った時
耳を寄せた私をお兄ちゃんはチラッと見て
反対側にケータイを持ち換えた
あぁっ!それじゃあ聞こえない
盗み聞きなんて行儀の悪いことをしておきながら
眉をしかめた その時――――――――――――



