鈍感なのは お兄ちゃんだよ
今どれだけ私がドキドキしてるか
………知らないクセに
そっぽ向く私を
背もたれにひじをつき
頬杖ついてお兄ちゃんは見つめ
「姫は?」
「え?」
「姫の方こそ、一生オレのそばにいるなんて言いながら
ある日、突然さっさとオレの知らない男のところへ行っちゃうんだろ?」
「なに言って……」
お兄ちゃんの方を向くと
あまりに強い視線を
私にぶつけてる
ドクン
心臓が大きな音をたてて
私は堪えきれずに目を逸らした
「私は……お兄ちゃんが独りでいるなら、そばにいるよ。ずっと」
少し声がうわずった私を
「ふっ…」てお兄ちゃんは笑い
「どーだかね」って言ったから
ムカッ
私も少し意地になって
「なによぉ!感じ悪いな
ずっといるもん
お兄ちゃんのそばにずっといる」
「んじゃ、あの男とは?
もう連絡取ってないの?」



