頭のてっぺんが


お兄ちゃんの
大きな手のひらで包まれる



お兄ちゃんが私に触れると


小さな子供になったような


そんな気持ち良さをいつも感じてしまうんだ



………そして



私の頭から下ろされた


お兄ちゃんの手のひらを


両手で捕まえた



「………姫?」



じっとお兄ちゃんの手のひらに視線を落として



「……大きいよね」って呟くと



「そうかな?」


私に手のひらを預けたまま
首を少し傾げた



「私の手より、ずっと大きい」



「…それは、当然だろ?」



私を簡単に子供にしてしまう

この手のひらを

どうしたら

私のモノに出来るかな?



ずっと このまま


大きな手のひらに甘えていたい



「どうかしたの?姫」



お兄ちゃんの手を両手で掴んで見つめ続ける私に心配そうに訊いた



「……何かあった?」


私は静かに首を横に振った



遠くで街灯がブゥンって音をたてる



夜の公園は誰もいなくて
道路も車一台通らない



ふいに今日 病院で先輩が言った


『鈴木先生には永遠に独身でいて欲しかった』という声が頭に響いて



みんな消えてしまえばいい


そう思った