いきなり話題が核心に移って
「……ごめんなさい」
私が謝ると
雅哉さんは 予想してたみたいに
全然動じずに
「答えを出すのは、もう少し待ってください
松雪さんはオレの事を全然知らないでしょう?」
「だけど……」
「だけど?」
「私、好きな人が」
そう言って
バカだなぁと自分で思う
お兄ちゃんを〈好きな人〉にカテゴライズしちゃダメだって
「松雪さん」
「はい」
「オレ、松雪さんに好きな人いても付き合ってる人いても大丈夫です」
「え?」
「さすがに結婚してたら別だけど
人の気持ちはどう転ぶかわからないので」
雅哉さんは頬杖ついて
「楽の母親、オレの別れた奥さんですが
出逢った時、彼女は親友の恋人でした。
紹介されて何度か会ううちに惚れちゃって
親友が仕事の関係で彼女と遠恋になった隙に盗ったんですよ」
「略奪愛…れすか?」
雅哉さんは苦笑いをして
「サイテーかも知れないけど
誰を裏切っても欲しかった
親友が遠く離れてるうちに
彼女の寂しい気持ちを利用して
楽が出来て結婚しました」
なんと言っていいのか
わからなくて
カルアミルクを飲み干すと
雅哉さんは「また同じものでいいですか?」と訊いて店員さんにオーダーした



