ファミレスを出ると8時30分を過ぎてて



楽くんのチャイルドシートがある後部座席に乗った



車が走り出して5分くらいで楽くんは眠って



私は着ていたジャケットを脱いで楽くんに掛けた



それに気がついた雅哉さんが



「あ、すみません。後ろに小さな毛布があるんですが……」


ルームミラーでこちらを
見ながら言った



腰をひねって
後ろの座席を見ると黄色のヒヨコ柄の毛布があって



「あ、ありました」


楽くんにそっと掛けた



ジャケットをもぞもぞ着ていると



「松雪さん」


「はい」


「楽を家で降ろしたら
もう一軒付き合ってもらえませんか?」



     ドキッ



どうしよう………



「お願いします。少しだけ」



「………わかりました」



曖昧にするよりも


はっきり告白されて


はっきり断った方がいいんだ



とっても心苦しいけど



私はお兄ちゃんが好きだから



―――――――でも



お兄ちゃんが好き


この想いは
どう考えても間違えてる



隣で眠る楽くんの可愛い寝顔を見つめて少し途方に暮れた



お兄ちゃんが優しくても



やっぱり この想いに答えも 先もないんだって――――――――――