上手く言えなくて、もごもごと言葉を詰まらせていると、秋月さんがふっと笑って、私を見ていた。 「残念ながら彼女はいないんですが、僕で良ければ。十波さんの手料理も食べたいですし。 十波さんの方こそ彼氏は大丈夫ですか?」 「っあ、あたしも彼氏いないんで!」 「…じゃあ、これから料理友達、ということで、よろしくお願いします。」 「あっ、こちらこそ……」 差し出された手を握って、握手。 心臓が、ドクン、とはねた。 …何故か私は、数時間前まで警戒していた相手と、いきなり友達になってしまった。