伶に笑顔を見せると、唇が重なった。

重なったのは一瞬で、伶はすぐに唇を離すと私からぱっと離れて、ケーキ持ってきたから今用意するね、と言ってキッチンに消えていった。


…ここ、私の家なんだけど。

おもてなしするのは、私の方な気が。…まぁ、いっか。




『大丈夫だよ』


嫌な思いはしてないから、この言葉に嘘はない。

でも、不安なんだよ。


伶が離れていかないか、怖くて、不安で。

どうしても、私は自分に自信が持てなくて。


伶に嫌われたくないから、そんなこと言えなくて。