地面をよく見ると、コンクリートに白い線が引いてあった。 どこかの駐車場かな、と思っていると、伶が私をくるっと回転させて、景色と反対側の景色を見せた。 …さっき伶が降りたときは、呆然としていたので気付かなかった。 「…ここ旅館?」 「隠れ宿、みたいな感じ?天然温泉の旅館だよ」 伶が言った言葉がよく合う、ひっそりとしていて、けれど存在感があって、高級そうな旅館だった。 ホテル、とかじゃなくて、旅館、という言葉の方がしっくりくる和風の建物が、そこにあった。