「綺麗でしょ?」 満足そうに笑う伶に、こくこく、と首を縦に振るだけで精一杯だった。 どうやらどこかの山の上辺りにいるらしかった。 海が一望出来るところで、すごく綺麗だ。 …たしかに、『誰にも邪魔されないところ』という私のリクエストにぴったりな場所だ。 「綺麗な景色…」 「本当は海に入れたらよかったんだけどね、…でも由佳を害虫の側で露出させるのは嫌だし」 ぼそり、と伶が付け足した言葉に笑いながら、私は海を見つめていた。