立ち上がろうとした伶さんの腕を、反射的に掴んだ。 …そういえば、前にもこんなことあったっけ。 前、というか昨日だったと思うけど。 …あのとき素直になっていれば、こんなに苦しい思いをしなくてよかったし、伶さんにもさせなかったのに。 あのときすでに、自分の気持ちは決まっていたのに。 「…好き、」 「……え?」 「伶さんが、好き。だから、行かないで。引っ越さないで、…私の目の前からいなくならないで…っ、」