私の突然の行動に驚きを隠せない伶さんは、私にわずかな抵抗を見せた後、されるがままになって、おとなしくメガネを外させてくれた。 メガネを取ると、テレビの画面上でよく見かけた顔がそこにあった。 …伶さんが芸能人なんだと、俳優の『秋月伶』なんだと、改めて思い知る。 「…急に俺のメガネなんて取って、どうしたの?」 優しく聞いてくる伶さんに、自分でも何がしたいのかよくわからなくて返事が出来なかった。 …ただ、私は確認したかっただけなのかもしれない。 伶さんが、『秋月伶』なんだと。