…冷静に考えたら、別に家に上がる必要なんてない気がするんだけど。

あ、さっきのこと聞かれるのかな…?




「由佳ちゃん?」

「は、はい?!」


ぴた、と足を止めて伶さんが振り返った。

自分の世界に入りこんでいた私は、急に話しかけられて声が裏返ってしまった。


伶さんはそれを気に留めた様子はなく、不思議そうな顔で再び口を開いた。




「ぼーっとしてどうしたの?」

「い、いえ、別に何もないです。」

「そう。」




…いきなり振り向かないで下さい。

心臓に悪すぎなんで。