家に帰って息をつく間もなく、すぐに玄関のチャイムが鳴った。


…絶対伶さんだ。

せめて、着替える時間くらい欲しかったんですけど。


はぁ、と息を吐いて、一応相手を確認してから玄関を開けた。




「…あの、せめて着替えたいんですけど…」

「すぐ済むから。…そんなに時間かかると思った？」

「～～…どうぞ」

「おじゃまします」


笑顔で意地悪を言った後、そのままにこにこしながら私の横を通りすぎてリビングへ歩いていく伶さん。

その背中を見つめながら、またため息をついた。