通り過ぎようとしたとき、秋月さんが話しかけてきた。

その言葉に進もうとした足をぴたりと止めてしまった。


…まぁ、通勤ラッシュに重ならないように出勤しているから、時間には余裕があるけど。




「…えぇ、まぁ。秋月さんもですか?」

「はい、まぁ。」


振り返りながらそう言うと、秋月さんは私の質問に答えながら、微笑んでいるようだった。


…口元が、そんな感じ。

目元がよく見えないから、断言は出来ないけど。




「…いってらっしゃい。」