…何をしていたか、といえば、マンションのエントランス付近で、きょろきょろしていた。

挙動不審すぎて、知らない人のふりをしよう、と心に決めた。




「あ、十波さんおはようございます」

「…、おはようございます…」


名出し。名出しですか。

これじゃあシカトしようにもシカト出来ないじゃないですか。


せっかく心に決めたのに、と、秋月さんに気付かれないように小さくため息をついて、秋月さんの横を通り過ぎようとした。




「…これから仕事ですか?」