騙されていたのかもしれない、もしかしたら。 あの笑顔の裏で、本当は馬鹿にされていたのかもしれない。 …そう思うと、怒りよりも悲しみが、私の心を支配した。 けれど、未だに伶さんのことを好きでいる自分がいた。 騙されてなんかいない、と信じている自分がいた。 …たった数週間しか関わっていない相手を、どこまで信用できるかなんて言われてしまえばそれまでの話だけれど、心のどこかで、信じていた。