「おじさん!ごちそうさま。おいしかった。また来るね。」
「あぁ…ありがと。鈴佳勉強頑張れよ。」
「ごちそうさま。やっぱおじさんのは美味しい。また来ます。」
「ありがとな。俊太も勉強頑張れよ。」
俺と鈴佳はレストランを出て家に向かった。
「俊太、ばいばい。」
「え?まだ家じゃないよ…」
「鈴佳ね、お母さんが死んじゃった6日は毎月この公園に来るの。でさー、あのベンチに座って空を眺めるの…」
その公園は家の近くにあって、ベンチと鉄棒しかない小さな公園。
「そっか。俺も一緒に行ってもいい?夜だし鈴佳一人じゃ危ないだろ?」
「いいよ。」
ベンチに座った。
「お母さん、俊太も来たよ。俊太ね、入学早々モテモテでさ。びっくりしちゃったよ。」
鈴佳が空を見上げて微笑んだ。
「なんだよそれ(笑)俺はモテてなんかないよ。」
「それ、モテる人が言うセリフじゃん。」
それから2人には穏やかな空気が流れた。
「なんかこの場所落ち着く。それに俊太もいるから余計に落ち着く。」
「鈴佳にとって俺ってどんな存在?」
きっと幼なじみって答える。
「大切な幼なじみ。」
やっぱり…
幼なじみの壁を破るのって難しいんだな。一番近い存在である幼なじみ。でも本当は一番遠いのかもしれない。

