琴音の笑顔を
俺は
昨日見たか、のように
今でもはっきりと覚えているのに
ガラスの向こうの琴音は
笑うことを忘れかけてた。
琴音は、というと
“特別治療室”というところへ入れられて
一人さびしく
毎日の4分の3以上もの時間を寝てすごしていた。
既に食べ物も自分では
吸収できない体になっていて
点滴からの摂取だけになってた。
琴音は
無数の機械に囲まれ、
無数の管をつけられ、
無数の薬を飲んで、
一日一日を戦ってた。
俺が来る時間帯に、
目を覚ますことは一度も無いけど
それでも俺は
寝顔を見れるだけで
十分だった。

