後ろから人の気配がした。
「また男の話?」
「あっ、宅間。」
「チコが病んでるの。癒してやって(笑)」
「宅間はいい。ヤダ。」
「何だその言い方は!」
こいつは、クラスメートの宅間陽次。
同じ中学卒で、近所に住んでる奴。
宅間には恋心はなく、いたって普通の友人関係。
てか、本当にこいつだけはない!
サッチャンは、
「案外、宅間だったりして〜チコの王子様。」
って言うけど、
ない。
宅間だけは、ない。
入学式の日のこと。
「今日から高校生〜。」
ルンルンだった私。
中学はブレザーだったから、このセーラー服を着れているのも嬉しかった。
ホームの柱にある鏡で制服姿の自分を見る。
「かわいい。」
自然に自画自賛していた。
家から学校の最寄駅までは、約15分。
初日だし、早めに家を出て駅に着いていた私がホームのベンチに座っていると、私を呼ぶ声がする。
「チコ!」
「あっ、宅間!そっか〜一緒の高校だよね。」
「そうそう、一緒に行こうや。」
「うん。」
しばらくは、良かった。
中学の話とか、卒業してからの事を話していた。
ようは、それから先。


