「……君の言う通りだ」

「! 父さん?」

「俺は、奴らから金をもっとむしり取るためにSDカードを盗んだ。それがこんな事に……」

「お前が運んだ薬で何人の命が消えただろうね。命と金を引き替えにした」

「それは……っ」

 眉間にしわを寄せる。

「これ以上お前を責めるつもりは無いよ。決めるのはお前自身だ」

「こんなこと……いけないと解ってはいたのに抜け出せなかったんだ。俺は弱い人間だ」

「父さん……」

「では、これを機に足を洗う事だ」

「そうだな。そうしたい」

 深い溜息を吐く彼にベリルはイタズラっぽく笑った。

「どのみち、この組織の運び屋はもう出来ないがね」

「……え?」

「私が脅しをかけたのだ。ボスは田舎にでも帰って農業でもするだろう」

「……」

 ニコニコと言い放つ彼に一同は二の句が継げなかった。