「!」

 しばらくしてビルから出てきたベリルを確認する。

「何の話をしてたんだ?」

 それには答えず車に乗り込み、発進せずにヘッドセットを取り出して左耳に装着し会話を始めた。

「ムサファ、そちらの様子は……そうか。引き続きよろしく頼む」

 会話を終えるとヘッドセットを外しハンドルに両手を置いて話を切り出した。

「マーフィと言ったかな」

「あ、ああ」

 ミラー越しに後部座席に座っているケビンの父親を一瞥する。