「処で」
「はいっ」

 硬直して声がうわずる。

「マイクロSDはちゃんと相手に渡せたかね?」

「へ……?」

 ニヤリと笑ったベリルに血の気が引いた。

「ま、まさか。初めから解ってて……」

 引きつった彼の顔を一瞥しデスクに腰を落とす。

「この組織が偽札まで手を出すものではないと解っていた。ならば答えは1つだ」

 もっと大きな組織の運び屋をしていた……目を据わらせて言い放つとイワンはガタガタと体を震わせた。

「仲間がすでに向かっている」

「!? なんだって?」

「逃げるなら今の内だぞ」

 男に顔を向けて静かに発する。

「う……」

 目を見開き恐怖におののいている男を確認し部屋を後にした。