「どうする?」

 拳を解いて手をブラブラと振りながら少年を捕まえている男を睨み付けた。

「くっ、覚えていろ!」

 男はお約束のセリフを吐き捨てて少年を突き放し逃げ去る。

「……」

 少年はポカンとしてライカを見つめた。

「おじさん……強いんだね」

「あ゛? “おじさん”?」

 ピクリと片眉を吊り上げたが肩を落としてつぶやく。

「32歳はおじさんだよな」

 溜息を吐き出して歩き出した。

「! ま、待ってよ!」

「あん? いいからどこへでも行けよ」

そう言って離れていく男の背中を少年は睨み付ける。

「おじさん! お願いだ……助けて」

「へ……?」