そんな彼にさして反応するでもなく、ベリルはジーンズのバックポケットから携帯よりも大きな機械を取り出した。

「モバイルパソコン……用意がいいな」

「ペンダントに入るほどのサイズならマイクロSDが限界だと思っていた」

「……」

 初めから気付いてたならそのときに取れよな……相手の行動を眺めて遊ぶ処は相変わらずか……眉をひそめた。

「ドル札?」

 ディスプレイに映されたものに怪訝な表情を浮かべる。

「かなり精巧だ」

「これってもしかして……」

「偽札の原盤だろう。作成するプログラムも入っている」

 ケビンの父親は小麦粉の中にこれを見つけて抜き取ったのだ。