「い、いくら中身は入ってないとはいえ……かっ、角……カドは痛すぎる……っ」

 うずくまって涙を流し、一斗缶をギロリと睨み付けて建物を見上げる。

「ベリルー! どこだごるぁっ!」

 当然、返事が返ってくるハズもなく……ふるふると拳をふるわせて気を取り直した。

「くそっ、覚えてやがれ」

 そうだ怒ってる場合じゃない。

 冷静に、冷静に……

「じゃあ何だ、親父から何かの情報が聞き出せなかったんだな。で息子が何か持ってると思ったのか?」

 その言葉に男はピクリと反応した。

 ドンピシャ! ライカは心の中でガッツポーズして続ける。

「子供が持てる程度のモノってことだよな」

 男はますます反応を大きくした。