「ごめん」


香織ははっきりと謝った。
強気な性格がこの時ばかり戻ってくる。

「じゃあ、やっぱり…」

「それ弟だ」


先週の金曜日、香織は確かに実家にいた。
そして、実家に暮らしてる弟のナツと遅くまで飲んでいた。


それは、変えられない真実だ。


…香織は浮気をしてないという。

俯いてた顔をあげて良太を見る香織。
一方の良太は、は?、という顔をしてる。

それはしょうがないだろう。
浮気相手だと思ってた奴が彼女の弟だなんて。

早とちりにもほどがある。



「でも、何で聞いてくれなかったの?そしたら…」


弟だと言えた。
その言葉は良太によって遮られた。