「でも、ちゃんと言葉にしなきゃ伝わんないんだよな?…俺、香織が好きだよ。情けないよなぁ…ごめんな、こんな俺で」


良太の声はさっきよりもいつになく寂しそうで切なくて香織は胸が苦しくなった。


「もし、愛想つかしたんならそれでもいい。…男、いるんだろ?」

さっきまで嬉しかった香織は次の言葉でどん底に落とされた気がした。


男…?
いるわけがない。
こんなにも良太の事で頭がいっぱいだったのに。
そんな器用な事が出来るはずがない。

混乱している香織をよそに良太は続ける。

良太の方も祈っていた。

愛想つかしたんなら、それでもいい。
男がいるんなら、それでもいい。

けど、もう一度チャンスが欲しい、と。



「先週の金曜日。時間空いたから電話したんだよ。そしたら、男がでて香織はシャワーですけど、って」


不安げに話す良太の話を聞いて香織は思い当たることがあった。

先週の金曜日…?

…確かに思い当たることが。