「懐かしいわ。あたしにもあんな時代があったからねぇ」


少し高校時代に思いを馳せる。
淡い恋心、儚くて純粋ですべてが初めてだった恋。
うっとりした表情になる愛菜に悔しいそうなナツ。

「あぁー俺も愛菜と同じ年だったらなぁ!そしたら愛菜と同じ学校とか同じ学年とかだったかもしれないのに」


子供っぽかったと言ってから気づくが、本当にそう思った。
ナツが知らない、中学、高校、大学時代の姿を周りの人は見ている。
その人たちにちょっとだけやきもちをやいてしまった。

「結婚するんでしょ?これからはずっと一緒なんだからいいじゃない?」

にこっと微笑んだ愛菜。
1枚上手な愛菜に驚かされつつも同じように微笑んだ。

「そうだよなぁ。これからは1人じめできるもんなぁ!」


愛菜はもう1枚上手なナツに照れながら、小さく頷いた。