その時―
門の勝手口が開き、中から婦人が一人出て来て言った。
「分かりました…
少しだけ話を伺いましょう」
私は勝手口から、婦人と共に敷地内に入り
そして
20畳程はある玄関ホールに通された。
「どうぞお使い下さい」
タオルを渡され、私はビショ濡れになった身体を拭いた…
婦人はその様子を見ながら口を開いた―
「私が香織の母です。
その様子だと只事ではありませんね…
どの様な御用件ですか?」
私は手を止め
婦人の目を見て話し始めた。
「信じて頂けないとは思いますが…
私は現在
毎夜香織さんに会っています!!」
婦人の表情が一気に険しくなった。
母親からすれば、神経を逆撫でする様な話に違いない―
それでも私は話を続け、現在の状況を説明した…
婦人は静かに話を聞いていたが、最後に一言私に尋ねた―
「香織は…
どんな服装でしたか?」
「黒のワンピースです。
あ!!
肩の所に白い花が刺繍されていて―」
私は記憶にある細部まで詳しく特徴を話した。
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