「ああ、それなら―
確か…
市内にある江藤醤油っついう旧家だって聞いた様な気がするけど」
江藤醤油―
あの
醤油醸造の名家か…
さすがに、フェリーヌ女学院に通わせるだけの事はある。
「あ、ありがとうございます…」
会ってくれるかどうかは分からないが、明日行ってみよう…
私は頭を下げると、彼女と別れた。
バスの中でメールが届く―
▽…生きてますか?…▽
アール…
あなたに
違う結末は話せそうにない。
帰宅して全ての事を済ませると自室に籠った。
ベッドに寝転んで、ひたすらマリアの言葉を念じる―
"信じる―!!"
しかし
亜佐美に対する猜疑心は大きくなっても、小さくはならなかった…
今夜は、マリアから励ましのメールがしきりに入る。
まるで
私の心を見透かしているかの様に―
私は、結論を出せないまま携帯電話をずっと握り絞めていた。
そして
午前1時を少し回った時に異変は起こった…
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