帰宅すると
今日も午後7時を回っていた―


「ただいま…」


「京子っ

あなたも受験生なんだから、早く帰って勉強しなけりゃ駄目じゃない!!」


台所から少し強い口調で母の声がする。

娘は今受験勉強どころではないっていうのに…



とりあえず
手と顔を洗おうと洗面所に行って電灯を点けた。



あっ…


思わず蛇口を捻った手が止まった。

昨日まで赤い斑点だった痕が、明らかに指だと分かる様になっていた…


私は息を止めて
一気に手と顔を洗うと食卓に急いだ。



食卓の上には、オムライスが乗っていた。


「父さんは今日も遅いから―

早く食べてしまってね」


「はーい」



8畳程の広さの台所。
奥が炊事場になっていて、真ん中に4人腰掛けの食卓が置かれ―


私は丁度、
洗い物をしている母とは背中合わせになる。


「母さん
ケチャップが出てないよぉ

ケチャップ取ってケチャップ」



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