崎山市は
そんなに大きい都市ではないが、電車の駅は1つだけ…
夕方になると、通学の学生等で意外と利用する人は多い。
駅に到着すると
待ち合わせ場所である、改札横に設置された乗車券の自動販売機の近くに立った。
約束の時間は午後4時半―
駅構内の時計を見ると、もう約束の時間になろうとしていた…
来ない…
私は騙されたのだろうか?
そんな不安が芽生え始めた時、左肩を叩かれた―
ポンポン
「あなたが友芽さんね?」
柔らかい女性の声にハッとして左側を向いた。
そこには
制服姿の女の子が一人立っていた…
「あ、アール…さん?」
私は動揺して、オドオドと聞き返した。
その線の細い
ショートカットの女の子は、大きい瞳で私を見つめながら答えた…
「そう
私が登録名アールよ」
彼女は
ここでは騒がしくて話せないからと、駅前ロータリーの端にあるベンチに誘った。
.



